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目次
胎児医療とは、胎児期における疾患を診断し、産婦人科・小児科・遺伝医療が連携して胎児の健康を守る専門分野です。多くの診療科では英語を使う機会は限られていますが、胎児医療の現場では外国人患者対応や国際カンファレンスで英語を活かす場面が珍しくありません。「言葉や文化を超えて誰かを支えたい」「英語力を活かしてキャリアアップしたい」「これまで経験のない国際医療の現場でスキルを広げたい」と考える医療者にとって、胎児医療の現場は大きな成長の機会となります。
文化や言葉が異なる中で不安を抱える患者さんに寄り添うためには、単なる英語力だけではなく「伝える姿勢」と「思いやり」が大切です。胎児医療の現場で外国人患者を迎えるとき、真っ先に直面するのは、言葉の壁よりもむしろ「文化や価値観の違い」かもしれません。
例えば、ある文化圏では「家族全員で決める」のが当然とされ、別の文化圏では「本人の自己決定」が重視されます。宗教的背景によっては、避けるべき言葉や説明方法への配慮も必要です。
日本では、医師やスタッフが詳細に説明し、十分に納得してもらった上で同意を得ることが基本ですが、一部の文化圏では「すべて医師に任せる」「細かな説明は逆に不安を増幅させる」場合もあります。
誤解を防ぐためには、事前に文化的背景や価値観を把握し、伝え方を工夫する姿勢が求められます。
複雑な表現を避け、ゆっくりと、簡潔に、やさしい表情で話すこと、またシンプルなフレーズにジェスチャーを添えるだけでもスムーズに伝わることがあります。
医療の現場では、高い英語力よりも「伝えたい」という気持ちと誠実な態度が信頼を生みます。胎児医療は、患者さんの人生にとって特に不安の大きい場面だからこそ、穏やかな声かけや目線、落ち着いた姿勢が、国籍を越えて不安を和らげるコミュニケーション手段になるのです。
外国人患者と接する際には、まず医療全般における文化的習慣の違いを理解し、さらに出産や胎児に特有の考え方にも配慮する必要があります。日本では「詳細な説明を受けたうえで納得し、同意する」プロセスが重視されますが、一部の文化圏では「すべて医師に任せるのが当然」とされる場合もあります。細かな説明がかえって不安を生むリスクもあるため、柔軟な対応が求められます。
出産や胎児に関する考え方も文化によって異なります。どこまで話すか、どんな順序で説明するか、誰に先に伝えるか、判断するには相手の反応を観察し、必要に応じて説明の仕方を調整するスキルが求められます。
例えば、「You can ask anything anytime.(いつでも質問してください)」と声をかけるなど、「安心できる空気づくり」が必要です。
また、言葉選びも重要です。「We will measure the fetal biometry today.(胎児計測を行います)」よりも、「Today, we will gently check your baby’s growth with ultrasound.(今日は赤ちゃんの成長を優しく確認します)」と伝えるほうが、自然に安心感を与えられます。
すべてを一度に伝えるのではなく、まず何をするのか、どれくらいかかるのか、終わったら何を説明するのか、というふうに段階的に案内し、その都度「Is that clear for you?」や「Would you like me to explain more?」といった相手を尊重する確認フレーズを使うとよいでしょう。
英語力以上に求められるのは、相手に合わせて伝え方を工夫しようとする姿勢です。そして、文化的背景に対して敬意を払う意識も欠かせません。現場では、多様性を受け入れ、患者さんとご家族に「この場所なら安心できる」と感じてもらうことが重要です。そのために、すべてのスタッフが「わかりやすく、やさしい言葉で伝えること」を共通の姿勢として大切にしなければなりません。
胎児医療の現場では、医師だけではなく看護師や遺伝カウンセラー、超音波検査士、臨床検査技師といったさまざまな職種が、外国人患者と接する機会を持ちます。「英語で正確に伝えるのは不安…」と感じるかもしれませんが、実際には短く簡単な言葉で十分に伝わります。
それでは、職種ごとに使える英語フレーズと、実際の対応シミュレーション例を紹介します。
看護師は、診察前の誘導や検査後のケアで、患者さんに安心感を与える役割を担います。ここでは、診察の前後で使える短い英語フレーズを紹介します。
遺伝カウンセリングは、多くの情報を丁寧に伝える時間です。難しい内容だからこそ、相手を気づかいながら、ひとつずつ確認して進める姿勢が大切です。
検査中は患者さんが不安を感じやすい時間です。やさしい声かけや進行状況を伝えるひと言で、患者さんの緊張が和らぎます。
採血や検査の案内は短い時間ですが、丁寧な声かけひとつで安心感が生まれます。
最後に、外国人患者の対応例をシミュレーション形式で紹介します。実際の流れをイメージしながらご覧いただくことで、どんな場面でどのように声をかけるべきか具体的に見えてくるはずです。
「Hello. Please come this way to the examination room.(こんにちは。診察室までこちらへどうぞ)」
「The doctor will be with you shortly. If you have any questions, please ask me anytime.(まもなく医師がまいります。不明な点があればいつでもお知らせください)」
「You may feel slight pressure. If it’s uncomfortable, please let me know.(少し圧迫感があるかもしれません。不快な場合はお知らせください)」
「All finished. The doctor will explain the results in a few minutes.(検査は終了しました。まもなく医師が結果について説明いたします)」
「Please take care, and if you have any concerns later, feel free to contact us.(お大事になさってください。後ほど不安なことがあれば、どうぞご連絡ください)」
このように、短い英語とやさしい声かけの積み重ねで、外国人患者にも安心して検査を受けてもらうことができます。
医療英会話では、単に言葉を伝えるだけでなく、相手の文化的背景や価値観に配慮し、丁寧なコミュニケーションを取ることが大切です。特に胎児医療の現場では、患者さんやご家族の不安に寄り添いながら対応することで、より安心して診療や検査を受けてもらえるようになります。
英語力だけにとらわれず、「伝えたい」という気持ちを大切にしながら、柔軟にコミュニケーションを深めていくことが一つの手がかりとなるでしょう。