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胎児医療で求められる
臨床検査技師とチーム医療

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目次

はじめに:胎児医療とは

胎児医療とは、妊娠初期から胎児の健康を診断し、「-1才の命を支える」大切な医療です。胎児医療は、診断から説明、意思決定支援に至るまで複数の専門的視点を必要とする分野であり、職種を越えたチーム医療が求められます。しかし日本では、胎児医療に関わる専門人材が十分に確保されているとは言えず、医療機関では連携体制を工夫しながら診療を行っています。

こうした中でも臨床検査技師は、診療方針の検討に必要なデータを取得・提供する役割を担い、チーム医療の中で専門性を発揮している職種の一つです。

胎児医療の現場で求められる
検査技術

臨床検査技師の業務は、血液・生化学・病理など幅広い領域に及びますが、胎児医療においては、一部の施設で超音波検査士の資格を有する臨床検査技師が、画像の描出や計測を担当することがあります。特に、NT測定などの胎児スクリーニングでは、医師や他の検査者と連携しながら、描出された画像や所見の再現性を保つ役割が求められます。

このページでは、「胎児医療」の超音波検査に携わる臨床検査技師を想定し、その役割や専門性、キャリア形成について解説します。

胎児スクリーニングに関わる技術と観察力

胎児スクリーニングでは、超音波を用いて胎児の成長や臓器発達を評価します。妊娠週数に応じて観察項目が変化するため、高い観察力と計測精度が求められます。例えば、初期にはNT(頸部の皮下の厚み)や鼻骨の有無、心拍などを確認し、中期以降では脳、心臓、腎臓、消化器、四肢といった構造の評価が中心となります。

超音波検査における柔軟な対応力

胎児は日々成長し、検査時の姿勢や動きも常に異なります。こうした条件の中で適切な断面を描出し、クリアな画像を得るには技術と経験が不可欠です。

また、妊婦さんに負担をかけず、リラックスした状態で検査を進めるための対応力も重要です。検査の目的や進行状況を必要に応じて説明し、検査の透明性を担保する姿勢が求められます。

妊娠週数に応じた検査内容例
初期(11〜13週) 中期(18〜22週) 後期(28週以降)
NT計測、鼻骨確認、心臓の初期構造評価など 脳・心臓・四肢・消化器官の構造評価 発育遅延の有無、羊水量、ドプラ評価による血流観察など

国際的な評価基準に関する知識としてFMFを学ぶ

NTなどの超音波マーカーの画像評価では、FMF(The Fetal Medicine Foundation)が定めた国際的な評価基準が存在します。

FMFの認定制度は特に職種の制限はなく、各国で超音波検査を実施できる医療資格の保持者が対象です。FMFの認定資格を取得する臨床検査技師は日本国内には多くはありませんが、その基準や評価視点を理解しておくことは、チーム医療を支えるための共通認識として有効です。

臨床検査技師のキャリアの可能性

胎児医療に関わる中で、超音波検査に携わる臨床検査技師が、画像の取得補助(資格取得者に限る)や計測、症例記録を経験することは、技術の深化とともにキャリア形成の基盤にもなります。

特に、超音波検査士などの認定資格を取得している臨床検査技師が、医師の指示のもとで胎児の検査に関わる施設では、より実践的なスキルを蓄積できます。検査データの一貫性と品質を保ち、医師による判断が円滑に行えるよう支援する立場を担います。

チーム全体の検査品質向上にも貢献

また、他施設の技師との比較や技術交流を通じて、自己の技術を客観的に見直す視点が養われ、診療スキルの向上にもつながります。そして一定の経験を経た後は、後輩や新人スタッフの教育・指導に関わる機会も増えていきます。

検査の手順や観察ポイントを整理して伝えることは、自身の理解を深めると同時に、チーム全体の検査品質向上にも貢献します。