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超音波検査士の
専門性を追求できる領域

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目次

Interview
超音波検査士 H.Hさん 超音波検査士
H.Hさん
なぜ、胎児医療?
お腹の赤ちゃんのことを
もっと知りたかった。

超音波検査士として専門性を深めたい方にとって、胎児医療は「学びと成長を重ねられる分野」です。今回は、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張で活躍するH.Hさんに、胎児医療という分野を選んだ理由や、現場で感じるやりがい、そして未来への思いを伺いました。新卒・第二新卒の皆さんに、チャレンジのきっかけとなるリアルな声をお届けします。

経歴・職歴
2010年 助産師として病院勤務を開始
2010年~2019年 産科・NICUなどで助産師として勤務
2019年 大学病院に転職し、胎児診断領域に従事
2022年 超音波検査士の資格を取得
2023年4月 現職(週1日勤務)

胎児医療との出会い

超音波検査士としてのキャリアは、いつから始まったのですか?

私は、もともと助産師として医療の現場に入りました。当時から妊婦健診や分娩、産後のケアに携わっていて、NICUで新生児のケアを担当していた時期もあります。

いわゆる「周産期医療」に関わっていたのですが、妊婦さんの経過や赤ちゃんの成長を見守っている中で、徐々に自分の知らない領域への関心が高まっていったのだと思います。

胎児医療に興味を持ったきっかけは何でしょうか?

きっかけは、「赤ちゃんの『お腹の中の時期』を、私はまだ直接見ていないな」と気づいた瞬間でした。生まれたばかりの赤ちゃんは多く見ているけれども、胎児期には関われていなかったと同時に「この見えない存在を診るということは、どういうことなのだろう?」と、純粋な興味が湧いてきたんです。

ちょうどその頃、大学病院で胎児医療のチームに参加させていただいたことも、この分野に進んだきっかけのひとつです。不思議なことに、本当にいろんな巡り合わせが重なって、自然と胎児医療の世界に引き寄せられていった感覚があります。

実際に、胎児医療の現場に入ってみてどう感じましたか?

まず、産科とは全然違う世界だなという驚きがありました。助産師としての経験を活かせる部分も多くありますが、「胎児医療」はエコーの技術はもちろん、診断の考え方、用語、判断基準、すべてが新鮮で、新しい学びが尽きることがない世界です。経験すればするほど、「もっと知りたい、もっとできるようになりたい」という気持ちが強くなっていきます。

超音波検査士に求められる専門性

胎児エコーにはどのような専門性が求められるのでしょうか?

成人と違い、胎児エコーでは全身を対象とするため、高度な専門性が求められます。成人の場合は、腹部・心臓・乳腺といった部位ごとの専門がありますが、胎児の場合は頭から足先まで、1回の検査ですべてを評価する必要があります。さらに、胎児は発育の過程にあるため、妊娠週数によって構造の見え方も変化します。

小さな臓器が、わずか数週間で形態が大きく変わるため、その週数において正常かどうかを見極める力が求められます。現場では、解剖学の知識に加えて、胎児の発育・発達のプロセスを正しく理解しておくことが不可欠です。

成人のエコー検査とはまったく違うのですね。

検査の再現性が非常に低い点も、大きく異なります。例えば成人であれば、「この角度から見れば、この臓器が見える」といった基本的な考えがある程度成り立つものの、胎児の場合そうはいきません。胎児の向きやお母さんの体格、羊水の量など、毎回条件が違うため、前回うまくいった方法が今回も通用するとは限りません。

検査ごとに方法を考えて柔軟に調整することが求められますが、これは経験を重ねてこそ身につくスキルですので、毎回が新たな挑戦だと感じています。

診断精度を上げるために工夫していることはありますか?

まずは「正常」をしっかり把握しておくこと、そこがすべての基本だと考えています。そのうえで、わずかな「違和感」にも敏感であるよう心がけています。明らかな異常だとは言えないまでも、「少し違うかもしれない」と感じた際には、必ずチームに共有するようにしています。

他の人の所見や検査手順を見て学ぶことも非常に重要です。FMF胎児クリニックでは、画像や動画をチームで共有できるため、「この断面の捉え方はきれい」「こうした見せ方もあるのか」と、日々多くの気づきを得ています。

1日の仕事と現場での関わり方

Workday Schedule
超音波検査士
H.Hさんの1日のスケジュール
出勤~午前外来
  • 妊娠初期・中期・後期の超音波検査を担当
  • 1件あたりの検査時間は約1時間
  • 午前中に3〜4件を実施
午後外来~退勤
  • 午後も引き続き胎児エコーを実施(3〜4件)
  • 妊娠週数や事前情報をもとに、必要な断面を描出
  • 所見をまとめ、チーム内で情報共有
チーム医療の体制がしっかりしていることのメリットを教えてください。

役割がはっきり分かれていて、それぞれの専門性がしっかり発揮できる点です。例えば、最初にスタッフが丁寧にカウンセリングをして、次に私が検査を担当し、その結果を医師や他の検査士と共有して、必要があれば再度確認する、といった流れです。

超音波検査士としての役割に集中できる環境なので、一人ひとりの患者さんと丁寧に向き合い、じっくり検査に専念できるのは本当にありがたいと感じます。

チーム体制で特に良いと感じる点は何でしょうか?

誰も孤立せず、常にチームとして動けることです。

FMF胎児クリニックでは、基本的に「1人の目」だけで判断することはなく、検査のリアルタイム画像がシステム上で共有されていて、他の検査士や医師もいつでも確認できます。何か気になる点があれば、その場ですぐにディスカッションできるという安心感がありますし、若手スタッフにとっても、学びやすい環境だと感じます。

「FMF胎児クリニック東京ベイ幕張ならでは」だと感じるポイントはありますか?

一番の特徴は「コミュニケーションの質」だと思います。例えば検査中も、「今、ここを見ていて、こういう異常がないか確認しています」といった形で、積極的に妊婦さんに説明を交えながら検査を進めていきます。

他の医療機関では、「検査中は一切説明を挟まない」「最後に結果だけ伝える」といったスタンスを取る場合もありますが、FMF胎児クリニックで働く私たちは、患者さんとの信頼関係を築くうえで、こうしたアプローチがとても大切だと考えています。

インカムを使えば、離れた場所にいるスタッフ同士でも「この所見を一緒に確認してもらえますか?」と声を掛け合えるので、他の医療機関ではなかなかできない貴重な体験だと感じます。

検査時のコミュニケーションの工夫

妊婦さんと接する際に意識していることを教えてください。

妊婦さんの多くは検査前に少なからず緊張されているので、まずは安心してもらえるよう、「笑顔」と「声かけ」を大切にしています。検査中も逐一説明するスタイルで、「今は頭の断面を見ています」や「心臓の構造を確認していますよ」など、なるべくフラットなトーンで丁寧に伝えるよう心がけています。

一緒に画面を見ながらコミュニケーションを取っていくと、妊婦さんの緊張していた表情がふっと和らぐ瞬間があるんです。

コミュニケーションに自信がない方へアドバイスはありますか?

患者さんとのやりとりで一番大切なのは「伝えようとする姿勢」ですので、無理に上手く話そうとしなくても大丈夫だと思います。

最初は緊張して当然です。でも、検査についてしっかり説明していくうちに、自然と会話が生まれますし、自分の中にも仕事への責任感が芽生えてくると思います。経験を積み重ねることで、必ず成長できるはずです。

患者さんに説明するときに気をつけていることは何でしょうか?

「伝えすぎないこと」と「伝え足りないこと」のバランスです。やはり、何か気になる所見があるときや、再確認が必要な場合は慎重になります。患者さんに不安を与えないよう配慮しつつ、確認が必要であることは誠実にお伝えするようにしています。

実際に、ご家族から「知らなければよかった」と言葉をこぼされたこともありました。胎児医療は、そうした倫理的な葛藤と常に隣り合わせにある分野だと思います。だからこそ、私は、医療者の価値観を押しつけるのではなく、ご家族がどう感じ、どう向き合いたいかを最大限に尊重する姿勢を大切にしています。

超音波検査士としての
キャリアと未来の展望

超音波検査士としての今後の目標をお聞かせください。

一番の目標は、「見たことのない症例を少しでも減らしていきたい」ということです。

胎児医療の分野には、本当にさまざまな症例があります。中には、何万人に1人というような稀な疾患もあるため、すべてを経験するのは現実的ではありませんが、それでも一つひとつの症例と丁寧に向き合いながら、経験を積み重ねていきたいと思っています。

私は、FMF胎児クリニックとその他複数の施設を含めると年間約3,000件の超音波検査をしていますが、それでもまだ初めて出会う症例もあります。自分が実際に検査でみた症例は記憶にも残りますし、次に同じようなケースがあった場合の「引き出し」にもなります。経験は、技術だけでなく自信にもつながっていくと信じて、日々の検査に向き合っています。

改めて、これまでの経験は、胎児医療にどう活かせると思いますか?

助産師として働いていた経験は、今の仕事にとても活きていると感じます。妊婦さんと接する時間が長かった分、妊娠中の不安や期待、気持ちの揺れを肌で感じてきた経験があるため、検査中のささいな表情の変化や沈黙にも自然と気づくことができます。ですから、「胎児医療は看護師や助産師にも開かれた分野だと思いますか?」と聞かれたら、間違いなく「はい」と答えます。

FMF胎児クリニックでは、資格や意欲さえあれば助産師や看護師でも胎児エコーに携わることができます。「やってみたい」「学びたい」という意欲を持つ人に、門戸を開いてくれる職場です。

最後に、胎児医療を目指す方にメッセージをお願いします。

私にとって、胎児医療は「見えないものが見えるようになる」という喜びが詰まっている分野です。限りなく探究できる奥深さがあり、努力した分だけ知識やスキルとして確実に返ってきます。画像がきれいに撮れたとき、異常を早期に発見できたとき、患者さんが安心した表情を見せてくれたとき——そのすべてが、この仕事のやりがいだと感じています。

最初は難しさに戸惑うかもしれませんが、自分の興味や好奇心を大切にして、ぜひ一歩を踏み出してみてください。これまで医療に携わってきた経験も、きっと活かされます。そして、自分にしか描けないキャリアがきっと見えてくるはずです。

FMF胎児クリニック東京ベイ幕張
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FMF胎児クリニック
東京ベイ幕張
FMF胎児クリニック東京ベイ幕張 林伸彦院長
FMF胎児クリニック東京ベイ幕張
林伸彦 院長

未来の医療現場を担う
新卒・第二新卒の皆さんへ

生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。しかし、海外では一般的であり、超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて胎児の健康を支えています。

この仕事に就く「これまで胎児医療を知らなかった医療従事者」たちは、学び続けられる環境や専門性を深められる経験、そして何よりチームで命を支えるやりがいに魅力を感じ、成長していきます。あなたの情熱を「-1才からの医療」に向けてみませんか