胎児医療に関わる仕事|FetalCare+ » 【胎児医療】チーム医療の重要性 » 胎児医療現場の看護師の役割とチーム医療

胎児医療現場の看護師の
役割とチーム医療

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目次

はじめに:胎児医療とは

「-1才の命を支える」胎児医療とは、妊娠初期から胎児の状態を評価し、出生後の医療や方針判断に備える診療領域です。しかし日本では、胎児を専門とする医療従事者がまだまだ不足しているのが現状です。そうした中、医師をはじめ、遺伝カウンセラーや超音波検査士、看護師などが連携し、それぞれの専門性を持ち寄るチーム体制が構築されています。

胎児医療の現場では、看護師は診療の前後に妊婦さんやご家族の理解状況を確認し、説明補助や情報共有を担う役割を果たしています。

胎児医療における看護師の役割

胎児医療の現場では、看護師が医師や遺伝カウンセラーらと連携し、患者さんと医療チームをつなぐ情報伝達のハブとして機能します。不安を抱える妊婦さんやご家族に寄り添い、心穏やかに検査や診察を受けられるようサポートすることも看護師の大切な仕事です。

外来診療や検査時の患者対応

外来や検査時の案内に加え、検査内容や所要時間など、患者さんが抱える小さな疑問や不安に素早く気づき、検査・診療の工程をあらかじめ伝えることで、妊婦さんが状況を整理しやすくなります。

診察前後の声かけは、検査の流れや所要時間、次のステップについてご家族が質問できるタイミングを提供する意味でも重要です。「お疲れさまでした」「何かわからないことがあればお知らせください」など、対話の起点をつくる言葉として機能します。

チーム内での情報共有役

胎児医療は多職種連携が基本です。患者さんが診察中に示した反応、言葉にできなかった戸惑いなどは、医師や検査技師、遺伝カウンセラーにとっても重要な情報です。こうした非言語的反応を含む観察内容をチームに共有することが、看護師のもう一つの重要な役割です。

胎児医療で必要な
看護スキルと知識

胎児医療では、診療方針や検査結果に関する情報量が多く、患者さんの状況理解を支える説明行動が看護師にも求められます。

出生前診断や胎児疾患に関する
基礎知識

検査や診療の背景が十分に理解されていない場合、患者さんやご家族が検査結果の意味を受け止めきれず、判断が困難になることがあります。看護師自身の出生前検査や胎児疾患に関する基礎的な理解は、補足説明や判断支援の場面で活用されます。

例えば、「医師からの説明内容をもう一度わかりやすく伝える」「検査の流れや意味を落ち着いて説明する」といった場面では、知識の有無が説明の明瞭さに直結します。

外国人患者対応のスキル

胎児医療の現場では、外国人患者への対応も増えています。英語に堪能でなくても、検査の進行や手順を簡単な英語で伝える力があると役立ちます。以下のような一言は、外国人患者の不安を軽減する声かけ例です。

家族への配慮

同席する家族も診療内容を正確に理解できるよう、説明の順序や表現の調整を行うことが看護師に求められます。特に、小さなお子さんや高齢の付き添い者がいる場合には、場の調整やタイミングの工夫が必要です。

周産期医療でスキルを伸ばす
資格と研修

周産期医療に関わる看護師には、以下のような研修や資格取得が推奨されています。

看護師のキャリアアップ

胎児医療の現場では、診療補助だけでなく説明や観察を担う役割が多く、看護師がチームの一員として関与する領域は広がります。こうした経験を通じて、知識と対応力を整理し直す機会が増えていきます。

カンファレンスでの情報共有役

院内カンファレンスや症例検討会に参加する際、患者さんが診察時にどんな反応をしていたか、何を不安に感じていたかを伝えるのは、看護師だからこそできる役割です。こうした情報共有が、チーム全体の対応力を高める要素になります。

一定の経験を積むと、症例発表や研究活動に挑戦する機会もあります。現場で得た知見を発信することで、他施設の実践と比較しながら、日々の看護活動を客観的に捉え直す視点も得られます。記録や報告を通じた整理・検討を繰り返すことで、看護活動の意味づけや判断の背景を言語化する力が磨かれます。

教育担当や後進育成へのステップ

医師や他職種との連携のなかで、説明時の表現調整や、検査後の患者さんの反応報告を任される場面が増えていきます。

看護師として成長した先には、後輩看護師や新人スタッフへの指導に携わる道も広がります。業務の背景や判断の手順を後進に言語化して伝えることで、自身の理解を整理し直す機会にもつながります。こうした積み重ねが、看護チーム全体の判断共有力の向上にも寄与します。